兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科

(The Joint Graduate School (Ph.D. Program) in Science of School Education Hyogo University of Teacher Education)

project

project: O 持続可能な社会を構築する学校安全,防災教育・防災管理の実践的研究

平成24年度採択プロジェクト

プロジェクトの名称
持続可能な社会を構築する学校安全,
防災教育・防災管理の実践的研究
プロジェクトの期間
平成24年4月1日~平成27年3月31日

プロジェクトの概要

プロジェクト研究の概要

平成21年4月にそれまでの学校保健法が約50年ぶりに改正され,学校保健安全法が施行された。各学校では,この「学校保健安全法」の趣旨を踏まえ,防災の観点も取り入れた,施設及び設備の安全点検,児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導等について学校安全計画を立て実施することが期待されている。同時に,自然災害等発生時において学校の教職員が取るべき措置の具体的内容及び手順を定めた対処要領を作成するなど,防災管理と防災教育を一体的にとらえ,災害安全の充実を図ることが求められている。研究代表者藤岡(上越教育大)や西岡(兵庫教育大学)は,これにもとづいて編集された「生きる力をはぐくむ学校での安全教育」(文科省,2010)の参考資料作成委員として携わった。しかし,実践的事例の分析やこの方面の研究については十分進んでいるとは言えず,教育行政や教育現場に戸惑いが見られるのも事実である。現段階では文科省すら「東日本大震災を受けての防災教育・防災管理」,「学校防災マニュアル作成」に追われている状況であり,自然災害に対する学校安全,防災教育の実践的研究が喫緊の課題となっている。

そこで,本研究プロジェクトでは,兵庫県南部地震以降の自然災害に対する現状の学校の取り組みを収集・分析し,学校安全,防災教育・防災管理の再構築の観点を明確にする。特に1995年兵庫県南部地震,2004年新潟福島豪雨,中越地震,2007年中越沖地震と,兵庫教育大学,上越教育大学は災害後の学校支援に大きな貢献をするなど,これまでにも災害対応の蓄積がある。これらを集約,整理するとともに,その後の自然災害等についての学校での対策の現状と課題とを探る。具体的には,理科を中心とした教科の取り扱い,教科をベースにしながら地域と連動した「総合的な学習の時間」などによるカリキュラムの構築,大規模震災時の学校における避難所開設等の状況を踏まえた教職員の対応,保健室や養護教諭の役割,子ども達の心のケア等についての在り方を探るために事例を収集し,分析,考察及び授業,研修の実践によって,これからの防災教育と関連した学校での教育内容,教育方法から,教員養成,教員研修の再構築までを提案する。例えば教育内容には,地震,津波,火山活動等による災害はじめ,台風や豪雨,雷,突風などの気象災害や河川氾濫,洪水,高潮などの水害,崖崩れ,地すべりなどの地盤災害などの地域や,学校種など子どもの成長・発達段階,特質などを考慮し,教科,総合的な学習の時間,学校行事,避難訓練など教育活動に応じた様々な事例を踏まえる。

以上,本プロジェクトでは,防災教育で目指されている「災害に適切に対応する能力の基礎を培う」ということが,「『生きる力』をはぐくむこと」と密接に関連していることを踏まえ,児童生徒等の発達の段階を考慮して,関連する教科など学校の教育活動全体を通じた防災教育の在り方や展開を示すものである。

期待される成果

プロジェクトの実施により期待される成果

プロジェクトの概要で述べたように,学校安全や防災教育は喫緊の課題であり,文科省も指針等を示しているが,教育行政や教育現場の実態を踏まえた研究は我が国ではあまりなされているとは言えない。まず,国際的な動向を視野に入れ,日本全体としては取組みが進んでいない防災教育の研究を進めることができる。例えば,国連国際防災戦略(ISDR)が2000年に「国連防災の10年(1990-2000)」の成果文書として採択された。2005年には神戸市で国連世界防災会議が開催され,「国連持続可能な開発のための教育の10年(2005-2014)」と連動した兵庫行動枠組(HFA)が行動指針となった。ここでは教育の重要性が指摘され,翌年からDisaster risk reduction begins at schoolが国連のキャンペーンとして挙げられた。2007年にはスイス・ジュネーブにおいて,国連国際防災戦略事務局は兵庫行動枠組の実施を目的としたグローバル・プラットフォームを開催し,研究代表者は内閣府,アジア防災センター等の依頼を受け,日本の防災教育の現状と課題を紹介し,日本の取り組みは注目を浴びた。東日本大震災を越え,日本の蓄積された防災教育の在り方を,他の諸国,特に日本と同じような自然条件が見られ,自然災害による犠牲者の多いアジアの国々に対しても学校防災を提案することが可能となる。

次に,学校教育において,これからの自然災害に対する防災教育,安全教育の実践的研究を確立することが可能となる。また,今後予想される災害に対しても,学校教育での防災,減災教育の観点を先行事例の分析から明確にすることができる。具体的には,今後の学校安全,防災教育についての学校での教育内容,教育方法を提示する。加えて,教員養成や教育研修システムの在り方についても明確にし,これを教員養成や教員研修の中で実施する。教育課程に関連しては,教科教育,総合的な学習の時間,学校行事などでの具体的な取り扱いを明らかにし,さらには取り組みの成果を他の教員養成大学や教育委員会,教育センター等にも発信し,情報を広く提供する。一般行政と教育行政が連動した町づくりの中で学校の再構築が図られ,これに寄与することも期待できる。

以上,本プロジェクトは「安全教育,防災教育・防災管理等」に関して学校教育を多方面から捉えた研究であり,教育行政,教育現場等と連動し,教育施策の提言可能となる本連合大学院の大きな特色として他大学の追従を許さない教育実践学構築の一つの領域を打ち出すことが可能となる。

チーム構成員

プロジェクトに参加する研究科教員

氏名 連合講座等 大学 職名 役割分担(◎はチームリーダー)
(チームリーダー)
村田 守
自然系教育 鳴門教育大学 教授 ◎研究総括
自然災害を理解する教育(地震・津波災害,地盤災害領域)の調査・分析
西岡 伸紀 生活・健康系教育 兵庫教育大学 教授 学校安全・防災に関する(特に保健室,養護教諭等の役割)調査・分析
宮下 敏恵 学校教育臨床 上越教育大学 教授 自然災害時における学校での心のケアについての調査・分析
香西 武
(H26.4.1~)
自然系教育 鳴門教育大学 教授  
加藤 内藏進 先端課題実践開発 岡山大学 教授 自然災害を理解する教育(気象災害領域)の調査・分析
藤岡 達也
(~H25.9.30)
自然系教育 上越教育大学 教授 研究総括
佐藤 真
(~H26.3.31)
学校教育方法 兵庫教育大学 教授 生活科・総合的な学習の時間における安全・防災教育についての調査・分析
五十嵐 素子
(~H26.3.31)
学校教育方法 上越教育大学 准教授 学校安全・防災教育に対する学習者の意識についての質的分析

プロジェクトに参加する院生

氏名 配属大学・連合講座・学年 役割分担
那須 悦代
(H26.4.1~)
岡山大学・自然系教育・D2 データ処理等研究補助並びに和歌山県北部津波防災教育
澤田 一彦
(H26.4.1~)
鳴門教育大学・自然系教育・D1 滋賀県湖東地域の防災巡検コースの開発
前原 裕樹
(~H25.3)
兵庫教育大学・学校教育方法・D3  
戸倉 則正
(~H25.3)
上越教育大学・自然系教育・D3  

プロジェクト研究員

氏名 配属・職名 推薦教員 役割分担
高瀬 育子 上越教育大学附属中学校・養護教諭 宮下 敏恵 自然災害時における心のケア等養護教諭の役割についての事例収集・分析
川真田早苗 徳島県立石井町石井小学校・教諭 村田 守 小学校における理科教育や総合的な学習の時間に関連した防災教育についての教材・教育プログラムの開発と実践
小野麻美子
(H26.12.3~)
宮城県仙台第一高等学校・養護教諭 西岡 伸紀 健康・安全を含む日常生活上の諸課題に関する高校生の相談能力向上のためのプログラム開発及び教育効果の評価に関する研究
丸山 美貴
(~H26.3)
上越教育大学附属中学校・養護教諭 宮下 敏恵 自然災害時における心のケア等養護教諭の役割についての事例収集・分析

※職名は平成26年4月1日現在による。

 

研究成果報告

研究成果報告書(PDF)