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期待される成果

プロジェクトの実施により期待される成果

 学校教育における教科教育実践では,世界的に種々の提案がなされている。例えば,米国科学振興協会が1989年に提唱したScience for All Americansでは,科学,数学,技術に関するリテラシーを包含して科学リテラシーとして捉え,教育の中心的な目標として位置付けている。同様に,理系教育の融合としてのSTEM教育においても教科融合型の教育内容の検討が進められている。一方,ユネスコの教育分野ではEFA(Education for All)やESD(Education for Sustainable Development)等の視点から捉えており,国際バカロレアでは学齢に応じた教育内容の検討が行われている。

 学習者個人の活動は状況の把握,情報の収集,判断・理解,情報の表現の流れとして捉えることができる。さらに,学校教育における教科の特性を自己と他者の関係から捉え直すと,自己の能力を向上させる内容,他人に自己を表現する内容,他者の理解も含めた人と人との相互のコミュニケーションに関わる内容,他者を自然界や理想像さらには社会全体として捉えてその対象に対する真理を追求する内容,他者を自然現象・社会現象・人工現象として捉えてその対象に応用・改善を与える内容等に類別される。これらに,感性に関わる視点と理性に関わる視点が加わり,教科間の関連が複雑に交差している。逆に教科を離れて別の視点から教科教育全体を見てみると,各教科間での同じ視点の学習内容同士を関連させて体系化することが可能となり,教科架橋型の教科教育実践学として構築できることが分かる。

 本研究を進めることにより,これまで教科毎に行われていた学習内容を教科間で互いに関連させることが可能となり,教科間の学習内容関連図の構築が可能となる。また,関連する学習内容の順序性を設定することができ,学習者の学習を深める方策提示が可能となる。さらには,学校全体のカリキュラムデザインとして各教科が関連性を伴って授業計画を進めることが可能となる。加えて,これらの研究成果を連合学校教育研究科の博士課程学生が論文を執筆する際の指導書に反映させることにより,教科教育実践学に関わる研究者養成の質の向上にも寄与できる。

 以上のように,本研究は,これまで教科毎の視点から行われていた教科教育実践学について教科を架橋する視点を含めて研究し,海外の研究成果も取り入れ,各教科の本質を関連させる新たな視点からの教科教育実践学を考究する所に意義がある。最終年度には研究成果を広報するために,学術図書の刊行を行う。さらに,教科教育実践学の研究者養成の視点を加え,教科教育実践学の考え方を連合学校教育研究科博士課程学生にも伝承できるよう,研究者養成の観点から教科教育実践学研究に関わる指導書を作成して博士課程学生の研究の質の向上も図る。