第31回「動物たちの感情機能」・開催報告

教育実践学フォーラム~学校教育の諸問題と可能性を求めて~
2013年度メインテーマ 「対人関係の科学-学校現場への示唆を求めて-」

ゲストスピーカー : 藤田 和生 氏(京都大学大学院文学研究科教授)

 

 教育実践学フォーラム2013「対人関係の科学―学校現場への示唆を求めて―」の第3回目のゲストスピーカーとして,京都大学大学院文学研究科心理学研究室教授の藤田和生先生をお招きしました。平成26年3月9日(日),大阪大学中之島センターにおいて,通算第31回目の教育実践学フォーラムを開催しました。

 藤田和生先生は,「動物たちの感情機能」をテーマとして,フサオマキザルなどの霊長類に見られる協力と相互的利他行動,不公平感嫌悪,「思いやり」と感謝,積極的食物供与の可能性や,フサオマキザルやイヌの第三者の感情的評価に関する実証的研究の様子などについて映像を用いて紹介されました。例えば,人間同士のやりとりとして援助した人と援助を拒否した人の演技をイヌに見せた後,どちらの人から餌を取るかという実験では,援助を拒否した人からは餌を取らないということを見事に実証されています。これらにより,動物たちも豊かな感情世界があり,感情面におけるヒトとの進化的連続性があることや,他者に対する感情的な感受性が,協力社会を形成する基礎となっていると話されました。また,緻密な研究デザインで,測定機器を使わず,行動の発現や選択を観察することによって明確な結論を導き出されています。これは,研究を志す人にとっては非常に参考になるものでした。

 参加者からは,「動物に感情があるということをこのように証明できるのだとわかった」,「私は特別支援で教員をしていますが,教育現場でもつながるヒントが多くありました。子ども同士の関わりや,教員が児童へ注意ばかりしていては注目してもらえないことも,当然の感情なので再認識しました」,「とても興味深かったです。研究の手法,結果,考察,全てが勉強になりました」,「テーマへの着眼のすばらしさ,研究方法など,とても勉強になりました。楽しかったです」などの声がたくさん寄せられました。

(文責:松村京子連合学校教育学研究科研究主幹)