第20回 「子どもの生活リズムとパフォーマンス―睡眠教育(眠育)の重要性―」

教育実践学フォーラム~学校教育の諸問題と可能性を求めて~
2010年度メインテーマ  「子どものつまずきの発見と対応」

共催 兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科同窓会

第20回は終了いたしました。多数のご参加ありがとうございました。

ゲストスピーカー : 三池 輝久 氏 (兵庫県総合リハビリテーションセンター中央病院 子どもの睡眠と発達医療センター・センター長)

(概要)

「夜型生活と朝型社会」

 深夜まで働き活動する日本における成人の平均睡眠時間が世界一短いことはよく知られてきた。このライフスタイルに合わせて子どもたちも乳幼児期から夜シフト型の生活が身に着くことになった。しかし朝の社会活動開始時間はほとんど昔と変わりがなく「朝型社会」は維持されている。従って人々は 睡眠時間を短縮することで夜型生活を維持してきた。当然慢性的な睡眠欠乏がひきおこされることになる。 日本における慢性的な睡眠欠乏状態の一般化は、諸外国では珍しいとされる公共の乗り物におけるおびただ しい居眠りの実態に象徴されている。ちなみに、慢性睡眠欠乏状態の臨床症状として、 1. 日中の眠気(居眠り)、2.イライラ感の増加、3.集中力低下、4.生産性(成績)低下、 5.対人関係のトラブル(被害意識の出現)、6.交通事故の増加、が挙げられている。

「脳機能疲労とパフォーマンス低下」

 ヒトはなぜ睡眠が必要か?簡潔にいえば「脳の働きを保つために脳自身が作りだしたのが眠りである」からである。 眠りは身体疲労回復のためではなく脳の機能を守り育てるためのものであることが明確になっている。 睡眠がその役割を果たすことができなければ当然脳の働きは低下する。つまりパフォーマンスは低下する。 ところがこの時、ヒトはなぜか睡眠欠乏がこの事態を引き起こしていることへの思いに至らない。従ってさらに 頑張りを必要とすると考えますます睡眠を削って頑張る愚かな振る舞いに出てしまう。

「パフォーマンス低下と自責の念」

 パフォーマンス低下の理由が自らの脳機能低下によるという現実に思い至ることがないヒトの脳機能にも問題はあるが、 更に頑張ると当然パフォーマンスは更に低下する。この時自らの能力への不満・怒りは自らに向かう。なぜもっともっと頑張れない? 自分には才能がない、根性もない、と果てしない。ここに自らを変えなければならないという気持ちが芽生える。

「生活・服装の乱れは心の乱れ」

 子どもたちは、髪の毛を黄色や赤に染める、奇抜なファッションに走る、挑戦的態度が目立つ、など自分を変えようとする行動が現れる。 あるいは、単に朝起きができず、遅刻や無断欠席など学校生活が乱れ始める。自らの現状に納得できないので自傷行為も現れるが、 まずは自らを傷つける行為へむかう。私たちはこのような子どもたちのトラブルの入り口を観察できる立場にある。 さて私たちはどうすればよいのか?ともに考えてみましょう。